珈琲の話



珈琲の歴史と産地
コーヒーの起源はアビシニア(現在のエチオピア)又は中部アフリカの辺りととも言われています。
発見の歴史については諸説あります。

発見伝説1 〜アラビア〜イエメンの僧オマール発見説
領主の誤解により町を追放され、山中を彷徨っていたイスラム教の僧侶オマールは、鳥がついばんでいた赤い実を口にしたところ、疲労がさっと消え気分が爽快になりました。

そのころ、町では病気が猛威をふるって人々を苦しめていました。領主はオマールに助けを求めたところ、オマールがこの赤い実の煮汁を人々に与えると、あっという間に病か回復しました。

この町は後のコーヒーの積出港になり、コーヒー豆の名前として有名
「モカ」の町です。
オマールはこの地名にちなんで「モカの守護聖人」と呼ばれました。
森林の中の自然珈琲
発見伝説2 
〜エチオピア〜羊飼いの少年カルディ発見説
    

羊飼いの少年カルディは、羊が原野の名も見知らないある木の実を食べると、非常に興奮して夜も眠らず騒ぐことに気づき、自分もこの木の実を食べたところ、全身に活力が漲ってきました。

少年はこの奇跡をイスラム教の修道士に伝え、修道士の間で睡魔に打ち勝つ秘薬として広まっていきました。
真っ白い小さな花がいっぱい
コーヒーの歴史

コーヒーは発見当初よりイスラム教との結びつきが強く、宗教上使用する「秘薬」として、実のまま又は煮汁として宗教関係者の間で飲まれてきました。
14世紀にイエメンで飲物として飲まれるようになり、15世紀にはアラブ世界全体に広まりました。

1554年にはコンスタンチノーブル(今のイスタンブール)にコーヒーショップが開かれています、飲み物としてのコーヒーは1615年ベニス、1644年にはフランス、1650年にはイギリスとウイーン、1668年にはアメリカ大陸に伝わりました。
真っ赤な実がなりました
日本への伝来    

我が国では、いつ頃入ってきたのでしょうか。
たとえば足利時代にポルトガルの宣教師がコーヒーを持ってきたと言う説、また徳川家光の時代の通訳はコーヒ−を見聞していただろうと言う説などがあります。

日本人が珈琲を最初に飲んだ体験記としては、文永2年(1804年)太田南畝が長崎に遊学した際の見聞録に「紅毛船にてカウヒイというものを飲む。

豆を黒く炒りて粉にし、白糖を和したものなり。焦げ臭くて味ふるに堪えず」とあります。
文献としては寛保3年(1743年)の、「紅毛本草」にコウヒイ(古闘比似)は胃疾を主りて心火を平均にし、動悸を鎮め腸脾を開き食を進め経水を順にす。

子宮の病に用いて功あり。能く頭脳の冷疾を治し、気を壮にし心を悦にし・・・・」という薬功について記述があります。

商業ベースで輸入されたのは農林省の資料では明治10年(1877年)に初めてコーヒーが輸入されたとの統計があるそうです。

一般のひとに手の届く飲み物になったのは明治維新以降でした。1888年東京下谷の西黒門町(現在の台東区)に洋行帰りの鄭永慶が開いた「可否茶館」が我が国最初の喫茶店として有名です。

明治末期には「カフェ・パウリスタ」「メイゾン・鳩ノ巣」「カフェ・プランタン」などが次ぐ次ぐに誕生しエリートや文豪たちが集まりました。

昭和初期には海外への出稼ぎもはじまりコーヒーを飲用し一般的に広がり消費量は増大して、1937年(昭和12年)コーヒー黄金時代を迎えます。

しかし、第二次世界大戦中はコーヒーの輸入は途絶えましたので、本格的な日本のコーヒーの歴史は貿易が再開した昭和25年(1950年)から始まったと言えるでしょう。
手詰みされた完熟豆 
 




1804
日本人初めての飲用体験記
焦げ臭くて味ふるに堪ず
蜀山人


長崎出島

珈琲生産国

コーヒーの栽培はコーヒーベルトと呼ばれる赤道を挟んで北緯25度から南緯25度までの間の国で生産されます。熱帯、亜熱帯地方の高温多湿の気候で、日照りと年間降雨量が1300mm〜2500mm、平均気温は
15℃〜25℃が必要とされています。

標高は高いほど気温が低く豆がゆっくりと熟すため、暑い国の涼しい高地が良質のコーヒー豆の栽培に最適です。
ただし、2500mが限界と言われています。
 
               

コーヒー豆は主にこの地帯の約60ケ国で生産されており、生産地別では南米、中米、および西インド諸島アジア、
アフリカ、アラビア、南太平洋、オセアニアに大きく広がっています。

生産の割合は第1位がブラジル(約30%)、第2位のコロンビア(10%)を中心に中南米で世界全体量の6割を占め、次にアフリカ、アラビアが約3割、残り1割をアジア各国が占めています。
近年はベトナムがかなりの生産量を占めてきました


産地と種類

★ブラジル

         世界の珈琲生産量の30%を占めています。熱帯雨林や熱帯性高原が多く厳密な
         伝統的製法で精選処理したコーヒー豆の生産が主流です。

★メキシコ 
         アラビカ種では第3位のコーヒー生産国。海に面した地形が多く栽培に適しており、
         酸味が強い中南米産の中でも飲みやすい味が主流です。

★コロンビア
          コンディジェラ山の中腹910〜1500mの火山地帯が主な産地で、約15万の農家があり
          他国と違って自然災害が少ない産地です。

★グァテマラ
          多くが山脈の斜面で栽培され、豊かな降雨量、肥沃な火山灰土壌など自然の恵みを
           受けて世界有数の高品質と生産量を誇っています。

★コスタリカ 
           カリブ海を望む東部の斜面と中部高原内陸の高地で栽培されています。

★キューバ 
           シェラマエストラ山脈が連なっている斜面で栽培されています。有名なクリスタル
           マウンテンはキューバが誇る大形高級豆が有馬wす。

★インドネシア
           コーヒー生産量第3位の国。ロブスター種が主流でアラビカ種はジャワ島スマトラ島で
           生産されています・

★イエメン
           アラビカ半島を南北に走る高原地帯がコーヒーの栽培に適し、アラビカ種の名称発
           祥地でもあり、モカコーヒー発祥の地でもあります。

★エチオピア
           自然林方式や大規模農法など異なった栽培方式で栽培されています。
           優れて酸味が高く評価され支持されています。

★タンザニア    
           巨峰キリマンジャロを中心とした山岳高原地帯で栽培されています。粒の形状、酸味
           香りすべてに置いて最高級品です。

珈琲の原種
 珈琲の三原種(主要品種)
コーヒーはアカネ科の常緑樹です。
珈琲の品種には100種類以上あります。栽培されている品種は、アラビカ種・ロブスター種・リベリカ種の三原種です。

商業栽培には高い生産性耐病害虫が求められるため、現在はアラビカ種とカネフォラ種の2種類が栽培の主流になっています。

全体の70%以上が味の良いアラビカ種dが生産されています。
アラビカ種 (コフィア・アラビカ)
アラビカ種の中にはブルボンとティピカの種があります。
普通に飲まれている珈琲はアラビカ種が大部分です。
カネフォラ種(コフィア・カネフォラ)ロブスター種

よく知られているのはロブスター種で病害虫に強く栽培が用意です。
アラビカ種とは全く異なり、苦みが強く独特の香りを持ち、2倍のカフェインを含有しています。
缶コーヒーやインスタントコーヒーに主に使われています。またエスプレッソの一部に使われています。
リベリカ種(コフィア・リベリカ)

現在は日本では飲まれることがない幻のコーヒーです。生産している国はあるかもしれませんが、
現在日本には入ってきていません。